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というノリで、晒してみます。
平和島サンド静帝寄りにしたかった帝人君のアルバイトin平和島家なお話。
追記からどうぞ。
バイトでヘイワジマ
夏。
学生ならば長期休暇に入っているであろう時期だが、社会人の平和島静雄にはあまり関係の無い話と言えよう。昼間に(そして夜間にも)見かける十代の少年少女達の姿が多少増えた程度だ。
(そういやアイツも学生だったか。ひょっとして今もそん中に混じってんのかな)
頭に浮かんだのは静雄の友人、首無しライダーことセルティ・ストゥルルソン……の、更にその友人。高校生には見えない童顔を持つ少年の姿だった。
来良学園(当時は来神高校)の後輩でもあるその少年を思い出しながら静雄が歩いているのは、少年と出くわすかもしれない人口密度が増した池袋駅周辺ではない。有休消化だと言って会社から連続した休みを貰えたので久しぶりに家族に顔を見せようかと思い、実家に向かっているのだ。
ちなみに弟である幽も今日は都合よく休みが取れたと言って、静雄より少し早く家に戻っているらしい。兄弟揃って両親と会うのは本当に久々であるため、静雄はどこか嬉しそうに足を動かしていた。
そして彼は実家に辿り着き―――
「ただいま」
「おかえりなさい」
「おかえり、兄貴」
「ぁ、お、おかえりなさい……?」
母の声、弟の声、に続いたのは誰の声だ?
この時間帯、父親は仕事で家を空けているので却下。しかも静雄の父親はこんな声ではない。が、最後のそれは確かにどこかで聞いた事があるような……。
頭の上に疑問符を浮かべて静雄が玄関に突っ立ていると、パタパタとスリッパで音を立てながら奥から弟の幽がやって来た。その腕に静雄の見知った人間を抱きかかえるようにして。
「…………、は?」
「おかえり兄貴。どうしたの、そんな所でぼうっとして」
弟の声が聞こえるけれど、今はそれどころじゃない。
静雄はサングラスの下で両目を大きく見開き、弟の腕に掴まっている小柄な人影の名前を呼んだ。
「りゅ、竜ヶ崎?」
「竜ヶ峰、です。静雄さん」
「あ、ああ。すまん」
幽の腕に掴まっていたのは(そしておそらく静雄の帰宅の声に応えた三人目であろう人物は)今頃池袋の真ん中で夏休みを謳歌しているはずの竜ヶ峰帝人だった。
先刻まで静雄の脳裏で控え目に微笑んでいた童顔の高校生がどうしてこんな所にいるのだろう。
少年を捕まえている弟に視線を向けると、幽は感情の読みにくい双眸でちらりと帝人を眺めてから口を開いた。
「アルバイト」
「いや、訳わかんねぇから」
すかさず静雄がツッコミを入れると、幽は再び沈黙および帝人を一瞥し、
「帝人君、夏休みの間だけ“羽島幽平”の身の回りの世話をしてもらうために雇った。いい子だし、料理できるし、それに可愛いから最高」
「可愛いっていうのはやめてください幽さん……。僕、これでも一応男なんですから」
“これでも一応”のところで自分と幽(と静雄)の身長差を意識したのか僅かに項垂れつつ、帝人が苦く笑う。だが幽の言葉を否定しない辺り、アルバイトの話は本当なのだろう。
「兄貴も帝人君に頼っていいよ。ね、帝人君」
「あ、はい! 僕ができる事なんて高が知れてると思いますけど、何かお役に立てる事があれば遠慮なく言ってください」
「勿論俺と帝人君が一緒に居られない時だけね。基本的に俺のために雇ったんだから」
「お、おう……?」
幽に抱えられたままペコリと御辞儀をする帝人と、帝人を抱えたまま「じゃあ行こうか」と再び奥へ引っ込んでいく幽を眺めながら、静雄はひとまずそう返すしかできなかった。
可愛い後輩が家に(正確には弟の傍に)いるのは構わない、むしろ嬉しいくらいだが、どうにもこうにもこの状況は突然すぎる。
「本当にどうなってんだ……」
未だ靴も脱がずにぽつりと呟く。
いつまで経ってもやって来ないこの家の長男に帝人が気付いて声をかけに来るまで、静雄はそのまま玄関で立ち続けていた。
END
(帝人君に静雄さんの小さい頃の服を着てもらいたかったのに……! そこまで辿り着けませんでしたorz)
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