16分の1のメモ16分の1のメモ
萌を語ったりサイトの連絡事項をしたり。徒然なるまま。女性向けですよ。
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なんとか間に合った…!
Read moreで「大学生で古(→)キョン」
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「どうよパワポの調子は。進んでるか?」
「ええ、なんとか間に合いそうです。」
「発表は来週だっけ?」
「火曜日の午後ですね。」
机に向かう同居人の背後から顔を出してパソコンの画面を覗きこむ。そこにはパワーポイントの画面が表示されており、こいつの一年間の研究成果がプレゼンテーション用に纏められていた。と言っても、文系の俺にはさっぱりな内容なんだがな。
ふーん、と答えながら口の中にある固体を舌で転がす。それは歯に当たってカチリと小さな音を立てた。
「あなた、何か食べてます?」
甘い匂いがしますよ、と言われて俺は頷きを一つ。ポケットから取り出したのは本日バイト先の女の子達から「義理ですよ!」と思い切り主張されつつ頂いた飴玉だ。
「飴ですか。」
「しかもご丁寧にチョコレート味のな。」
バレンタインだからだろう。ウチの店でも明るく可愛いと評判のその子達は「お得用」とでかでかと書かれたチョコレート味なんていうちょっと珍しい飴が入った袋片手に、バイト先の男共(俺含む)の元を回っていた。もちろん三倍返しは暗黙の了解なのだが、高校時代に呆れるくらいの倍返しを要求してきた奴を知っているからだろうか、なんだかそれすら可愛らしく思えてしまう。
とかそんな風に昼間のことを思い返していると、じっとこちらを見つめる古泉と目が合った。
「なんだよ。」
「疲れた時には甘いもの、って言いますよね。」
「そりゃ言うには言うが…それがどうした。」
聞き返せば、奴はにっこり笑ってパソコンに触れる時だけ掛けている眼鏡を外す。女の子ならこいつのこういう動作にもいちいちときめいたりするんだろうな。―――って、オイ!この手は何だ!?
「何、と問われましても。そのままではないかと。」
「人の顎を掴んでおいて平然と言い切るな。」
睨み付けるが、こいつには何の効果もない。
それにしてもお前はいきなりこんなことをして、今度は一体何をしたいんだ?
「パソコンとの睨めっこにも疲れてきたので栄養補給でもしようと思いまして。」
「だから甘いものか?だったらコレ、もう一つあるからお前にやるよ。」
そう言ってチョコ味の飴を差し出す。
ああ、安心しろ。これを食べたからってホワイトデーの時にお前も何か返すもの用意しろよ、なんて言わねえから。
「いえいえ、そうだとしても結構ですよ。他の女性からのものを受け取るわけにはいきません。ですから、」
ですから何だ?と訝しんでいると、突然顎を掴んでいた手に力が加わった。
「ちょ、…!?」
目を白黒させつつ感じるのは、唇へのやわらかな感覚。それから。
「…ん、……っ!」
おいおいおい冗談じゃないぞ、何だこれは。こ、ここここれっていわゆるディープなんちゃらと言う…!
ころり、と口の中の飴が取り去られる。口内に残ったのは偽物っぽいチョコレートの味のみ。
「お、まえ…なにす、」
「はい。ですから、他人のものを貰うわけにもいきませんし、あなたから甘いものをいただきました。」
何の問題もないようにそう言って、目の前の優男は口の中で溶けかけた飴玉を転がしてみせた。
「ええ、なんとか間に合いそうです。」
「発表は来週だっけ?」
「火曜日の午後ですね。」
机に向かう同居人の背後から顔を出してパソコンの画面を覗きこむ。そこにはパワーポイントの画面が表示されており、こいつの一年間の研究成果がプレゼンテーション用に纏められていた。と言っても、文系の俺にはさっぱりな内容なんだがな。
ふーん、と答えながら口の中にある固体を舌で転がす。それは歯に当たってカチリと小さな音を立てた。
「あなた、何か食べてます?」
甘い匂いがしますよ、と言われて俺は頷きを一つ。ポケットから取り出したのは本日バイト先の女の子達から「義理ですよ!」と思い切り主張されつつ頂いた飴玉だ。
「飴ですか。」
「しかもご丁寧にチョコレート味のな。」
バレンタインだからだろう。ウチの店でも明るく可愛いと評判のその子達は「お得用」とでかでかと書かれたチョコレート味なんていうちょっと珍しい飴が入った袋片手に、バイト先の男共(俺含む)の元を回っていた。もちろん三倍返しは暗黙の了解なのだが、高校時代に呆れるくらいの倍返しを要求してきた奴を知っているからだろうか、なんだかそれすら可愛らしく思えてしまう。
とかそんな風に昼間のことを思い返していると、じっとこちらを見つめる古泉と目が合った。
「なんだよ。」
「疲れた時には甘いもの、って言いますよね。」
「そりゃ言うには言うが…それがどうした。」
聞き返せば、奴はにっこり笑ってパソコンに触れる時だけ掛けている眼鏡を外す。女の子ならこいつのこういう動作にもいちいちときめいたりするんだろうな。―――って、オイ!この手は何だ!?
「何、と問われましても。そのままではないかと。」
「人の顎を掴んでおいて平然と言い切るな。」
睨み付けるが、こいつには何の効果もない。
それにしてもお前はいきなりこんなことをして、今度は一体何をしたいんだ?
「パソコンとの睨めっこにも疲れてきたので栄養補給でもしようと思いまして。」
「だから甘いものか?だったらコレ、もう一つあるからお前にやるよ。」
そう言ってチョコ味の飴を差し出す。
ああ、安心しろ。これを食べたからってホワイトデーの時にお前も何か返すもの用意しろよ、なんて言わねえから。
「いえいえ、そうだとしても結構ですよ。他の女性からのものを受け取るわけにはいきません。ですから、」
ですから何だ?と訝しんでいると、突然顎を掴んでいた手に力が加わった。
「ちょ、…!?」
目を白黒させつつ感じるのは、唇へのやわらかな感覚。それから。
「…ん、……っ!」
おいおいおい冗談じゃないぞ、何だこれは。こ、ここここれっていわゆるディープなんちゃらと言う…!
ころり、と口の中の飴が取り去られる。口内に残ったのは偽物っぽいチョコレートの味のみ。
「お、まえ…なにす、」
「はい。ですから、他人のものを貰うわけにもいきませんし、あなたから甘いものをいただきました。」
何の問題もないようにそう言って、目の前の優男は口の中で溶けかけた飴玉を転がしてみせた。
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